Link-Rの目指す未来

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Link-Rの目指す未来

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生まれついた自分の在り方が生きづらさの源泉になるのではなく、誰しもが『自分は自分に生まれて良かった』と思える社会を作りたい

Link-Rは、思春期世代への性教育サービスを提供する団体として立ち上がりました。思春期世代といえば、10歳~19歳くらいの人のことを指します。「その世代に性教育をするなんて、若者の性の乱れを助長している!」というお叱りを受けたこともありますが、Link-Rがおこなってきたことは「健康に関する情報やスキル」「コミュニケーションと人間関係に関する情報やスキル」を発信することであり、そのための個別相談と様々な形での情報発信活動でした。

個別相談から見えてくるもの

個別相談の活動として、思春期世代や大人の相談を聴いていると、本当に様々な声が聞こえてきます。相談の内容は大きくカテゴリーに分類すると「科学的に根拠のある情報を教えてほしい」「信頼できる医療機関や専門機関を教えてほしい」「自分はどうすればいいかを教えてほしい」という3つに大別されます。

「科学的に根拠のある情報」というのは、もっと簡単に言えば性に関する知識を教えてほしいというもので、避妊の知識や性感染症の予防のための知識などを伝えます。また、Link-Rは「知識だけでは身を守ることはできない」と考えており、知識の生きた使い方ができる知恵を同時に伝えるようにしています。

「信頼できる機関」というのは、病院にかかりたいので怒らない先生のいる病院を教えてほしい、自宅の近所にある病院を教えてほしいなどのニーズで、自前のネットワークを駆使して紹介を行っていきます。なかでも需要があるのは「怒らない先生のいる病院」で、若い世代から「どうせ大人は怒る」と思われていることが感じられます。

「自分がどうすればいいか」は、文字通りの相談で、自分のことを自分で決められない人が意外と多いです。知識を伝えても、その使い方や読み解き方が分からなければ、自分の心を決めることは難しいため、知識とともにその使い方(Link-Rはそれを「知恵」と呼んでいます)を伝え、相談者の自己決定をサポートするようにしています。

明日着る服を自分で選ぶように

Link-Rは「明日着る服を自分で選ぶのと同じように、自分の性のことは自分で決めて良い」ということを理解して性の自己決定ができる人を増やしていきたいと考えています。

自分の性のことを自分で決めていくには、知識も、知識を使いこなす知恵も、リスクを考える能力も、決断力も問われます。簡単なことではありません。でも、自分の性のことを自分で決めることは人生の満足度に影響します。

自己決定を積み上げていくことは自分らしく生きることであり、自己決定を放棄することや自己決定ができない状況に追い込まれることは、自分らしさを見失うことです。

だから自己決定を大事にしています。

もちろん、「自分で決めて思う通りに生きること」と「好き勝手に生きること」は違います。好き勝手に生きることは、他人への迷惑を省みないで生きることですが、思う通りに生きることは、他人への迷惑や社会への悪影響をきちんと理解して、他人には迷惑をかけない範囲で、自分がしたいように生きることです。

Link-Rは、好き勝手に生きることを推奨しているのではなく、自分で決めて思う通りに生きることを後押しします。

自己決定に大切な2つのもの

性の自己決定って例えばどんなことでしょうか?「誰とお付き合いするのか」「誰とセックスをするのか」「子どもを産むのか産まないのか」こういったひとつひとつであり、思春期に限らず人間の一生にずっとついてくるものです。

こうした自己決定に必要なものが2つあります。

ひとつは、自己決定能力(自分のことを自分で決める能力)。正確な情報を知り、その情報に基づいて自分で責任を取れる意思決定をするための能力です。

もうひとつは、周辺環境。その人の自己決定を「そういうもの」「正しいもの」として捉えられる周囲のチカラ(コミュニティ力のようなもの)です。

その自己決定は誰のもの?

自己決定の話をすると、「そうは言っても、みんな自分で選んで決めてるし、その結果が現実を作ってるんじゃない?」と言われることもあります。それもそうだと思う反面、やはり違うとも思います。

活動を通じて様々な相談を聴き、様々な事例を目の当たりにしてくると、性に関することに対しては「難しい」「分からない」「どうすればいい?」と構えてしまう人が多いことに気付きます。また「本当はそんなことされたくないけど、相手に嫌われたくなくて…」「相手に逆らったら後が怖いから…」と不本意なセックスや不本意な自己決定を強いられることもよくあります。

もっと自分本位でいいんですよ。もっと主体的になっていいんですよ。「NOはNO」「ダメなものはダメ」「好きなものは好き」それでいいんです。

情報を自らどんどん集めて、それを読み解いて、自分にとって最適な意思決定をする。Link-Rはそのための情報提供や、意思決定を躊躇する人のエンパワメントや、意思決定をきちんと受け止められるコミュニティ力作りを、これまでやってきましたし、これからもやっていきます。

性は最も身近な自分事

自分の性別から離れて生きられる人はいません。つまり、「性」は最も身近な自分事なのです。また、人間の性の在り方は「性別」だけで決まるものでは実はありません。「肉体的な性別」「自分をどういう性別だと自認しているか」「どういう性別の相手を好きになるか」「どういう振舞をするか(男性的とされる振舞をするのか、女性的とされる振舞をするのか等)」「どういう性癖があるのか」など、様々な要素が複合的に絡まってその人の性を構成していますし、その人自身を構成しています。様々な要素が絡まった人間の性の在り方のことを「セクシュアリティ」と言います。性はまさにその人自身でもあるのです。

在り方の多様性は生き方の多様性

その在り方が否定されることがあったらどうでしょうか?「自分は異性愛者だったから人から変な目で見られないで済んだ」という人がいる一方で「自分は同性愛者だから結婚もできないし、差別されることも日常茶飯事」という人がいます。本人の努力ではどうしようもない「生まれつく在り方」。それによって差別を受けたり受けなかったり。本当に馬鹿げています。

性は多様なもので、色々な在り方の人がいます。そのいちいちに「自分とは違うから」と攻撃するのではなく、「そういう人もいる」と思えることが寛容さなのではないかとLink-Rは考えるのです。

また、在り方の多様性は生き方の多様性でもあります。「自分とは違う生き方をする人」は、自分とは違う自己決定をしているから「自分とは違う生き方」だと感じるのだと思います。それもいいじゃないですか。みんなが同じ生き方をする必要はありません。こういう時にも、他人の自己決定を尊重して、その自己決定を「そういうもの」「正しいもの」として捉えられると、この社会は生きやすくなるでしょう。

自分と他人の区別をつける。それは「自分の幸せの姿が自分にしか分からないように、他人の幸せの姿はその人にしか分からない」ということと地続きであり、だからこそ、在り方も、生き方も、自己決定の内容も、様々なんだと認め合えることなのだと思います。そしてこの先に、「誰しもが『自分は自分に生まれて良かった』と思える社会」が待っているはずです。

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